店舗経営

飲食店のリピート率。数え方を決めるところと、再訪施策で越えてはいけない線

リピート率は定義を決めないと数字になりません。識別子の持ち方、プロフィールの数字では再訪が分からない理由、そして景品を配るときの上限と、値引・ポイントが対象外になる理由を整理しました。

新規集客に予算を付ける前に、見ておきたい数字があります。いま来ている人が、もう一度来ているかどうかです。

ただ「リピート率」は、そのままでは数字になりません。決めることが3つあります。

1. 定義を決める

同じ店でも、定義が違えば数字は倍くらい変わります。先に3点を固定してください。

期間。「3か月以内に2回目」なのか「1年以内」なのか。飲食店なら業態で妥当な間隔が違います。ランチ中心の店と、記念日利用の店では置くべき期間が別です。

1回の数え方。同じグループで2名来店したら1回か2回か。予約名義で数えるなら1回です。会計単位なら、席を分けたときに2回になります。どちらでもよいので、変えないことが重要です。

分母。「今月来た人のうち、過去にも来ている人の割合」なのか、「3か月前に初来店した人のうち、その後また来た人の割合」なのか。後者のほうが施策の効果を見るには向いていますが、集計は手間がかかります。

最初は粗くて構いません。毎月同じやり方で出し続けることのほうが、精度より役に立ちます。

2. 識別子がないと、数えられない

リピートを数えるには、同じ人だと分かる手がかりが要ります。予約名、電話番号、会員番号、ポイントカード。現金のみ・予約なしの店では、ここが最初の壁になります。

そして顧客情報を取るなら、法令の側の準備が要ります。個人情報保護委員会の中小企業向け資料には、事業者が守るべきルールとして「取得・利用」「保管」「提供」「開示請求等への対応」の4つが挙げられ、取得・利用については次の2点が示されています。

  • 利用目的を特定して、その範囲内で利用する
  • 利用目的を通知又は公表する

「利用目的の特定」とは、何のために個人情報を利用するのか具体的に決めることとされ、「当社の商品の配送及びアフターサービスのご案内のため」のような書き方が例に挙げられています。通知・公表の方法に決まりはなく、店舗等への掲示や申込書等への記載でよいとされています。

ポイントカードを作るついでに連絡先を集めるなら、その用紙に利用目的を書いておくのが一番手間がかかりません。なお、この資料は平成29年6月公表のもので、その後に法改正があります。運用は最新のガイドラインで確認してください。

3. プロフィールの数字では、再訪は分からない

「Googleビジネスプロフィールの閲覧数が伸びているから、常連が増えている」とは言えません。

ヘルプの定義を見ると、閲覧数はプロフィールを閲覧したユニークユーザーの数で、ユーザーは1日1回のみカウントされます。通話数は通話ボタンがクリックされた回数です。どちらも「その人が以前に来店したか」を区別する指標ではありません。

つまりプロフィールの数字は、来店前の接点を測るものです。再訪は店側で持つしかありません。指標ごとの数え方の違いはパフォーマンスの見方にまとめました。

再訪施策に「モノ」を付けるなら、上限がある

ここからが、知らずに越えやすい線です。次回来店を促すためにノベルティや景品を配る場合、景品表示法の景品規制がかかります。

懸賞によらずに提供する景品類は「総付景品」と呼ばれ、提供できる景品類の最高額が決まっています。

取引の価額 景品類の最高額
1,000円未満 200円
1,000円以上 取引の価額の10分の2

客単価3,000円の店なら、上限は600円です。

購入を条件にしない場合は、さらに厳しくなります。

購入を条件とせずに、来店者にもれなく景品を提供する場合の取引の価額については、原則として100円とされていることから、提供できる景品類の最高額は200円となります。

ただし、店舗で通常行われる取引の価額のうち最低のものが100円を超えると認められるときは、その最低のものを取引の価額とすることができるとも書かれています。

設計で引っかかりやすい点も2つ挙げておきます。

  • 先着順は懸賞ではなく総付景品。来店や申込みの先着順で相手方を定めることは偶然性によるものではないため、原則として総付景品の提供に該当します
  • 価額に差のある景品をランダムに渡すと一般懸賞になる。もれなく配る場合でも、景品の価額に差があってどれをもらえるか分からない状態は、懸賞による提供に当たるとされています。顧客が自由に選べる場合や、価額に差がない場合は総付の扱いです

値引とポイントは、景品類に当たらない

一方で、次回使える割引やポイントは景品規制の対象外です。ここははっきり書かれています。

自己の供給する商品又は役務の取引において、取引通念上妥当と認められる基準に従い、取引の相手方に対し、支払うべき対価を減額すること(複数回の取引を条件として対価を減額する場合を含む。)は、正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益に該当し、景品類に含まれず、景品規制の対象とはなりません。

そして、商品・サービスの購入時に対価を減額する場合だけでなく、次回以降に購入する際に対価を減額する場合も含むと明記されています。次回以降の支払いに充当できるポイントも、同じ理由で景品類に含まれないとされています。

実務上の結論はこうなります。再訪を促すなら、モノを配るより次回の割引やポイントのほうが設計が楽です。上限額の計算が要りませんし、原価も読めます。モノを配るなら、上の表に当てはめてから決めてください。

新規の獲得単価と並べて見る

最後に判断の話です。リピート率が出せると、新規獲得にいくらかけられるかの計算が変わります。1回の来店の粗利ではなく、平均して何回来るかを掛けた額が上限になるからです。

ここは店舗の広告を止めるか続けるかと個人店の集客予算はいくらが妥当かに書いた計算とつながります。リピート率を知らないまま広告を回すと、上限を低く見積もりすぎるか、根拠なく高く置くかのどちらかになります。

まとめ

  • リピート率は、期間・1回の数え方・分母を決めないと数字にならない
  • 粗くてよいので、毎月同じやり方で出し続ける
  • 数えるには識別子が要る。顧客情報を取るなら利用目的を特定して掲示する
  • プロフィールの閲覧数はユニークユーザー。再訪かどうかは区別されない
  • 景品を配るなら総付景品の上限がある。1,000円未満は200円、以上は10分の2
  • 購入を条件にしない来店者全員への提供は、原則として取引の価額100円で計算する
  • 先着順は総付。価額に差のある景品をランダムに渡すと一般懸賞になる
  • 次回以降の割引やポイントは値引に当たり、景品規制の対象外
  • リピート率が分かると、新規獲得にかけられる上限の計算が変わる

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参照した一次情報

本記事は一般的な傾向と公開情報にもとづく解説です。制度・仕様は変更されることがあるため、実際の手続きや設定の際は必ず一次情報をご確認ください。

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