店舗の広告を止めるか続けるか。判断する前に決めておく3つのこと
「効いている気がしない」で止める前に、何を1件と数えるか、1件にいくらまで払えるか、いつ判断するかを決めます。Google広告のヘルプにある定義をもとに整理しました。
「広告を出してみたが、効いている気がしない」
止めるかどうかの相談で、最初に聞くことは決まっています。1件いくらで取れていますか。ここが答えられない状態だと、止めても続けても判断になりません。
決めることは3つです。何を1件と数えるか、1件にいくらまで払えるか、いつ判断するか。
1. 店舗の「1件」は、たいていサイトの外で起きる
Google広告でトラッキングできるコンバージョンの種類は、ヘルプで次のように整理されています。
| 種類 | 対象 |
|---|---|
| ウェブ | サイトでの購入、登録、ボタンのクリックなど |
| アプリ | インストール、アプリ内購入 |
| 通話 | 電話件数 |
| オフライン | 広告掲載後に発生した来店数や電話件数など |
店舗の本体は下の2つです。サイトのフォーム送信だけを数えていると、電話で予約した人も、広告を見て後日来店した人も、成果に入りません。それで「効いていない」と判断してしまうのが、いちばんよくある取りこぼしです。
電話については、通話データをキャンペーンにリンクすると、価値の高い電話リードにつながっている広告を特定できるとされています。設定にあたっては、アカウント設定で通話レポートを有効にし、コンバージョンアクションを「メイン」にすること、通話の最小時間のしきい値を調整できることが案内されています。1秒で切れた着信まで1件に数えると、数字が甘くなります。
来店側はオフラインコンバージョンの取り込みになりますが、Google クリック ID を使う方法は90日以内のものに限られるなど条件があります。仕組みとして重いので、まずは電話と、サイトからの予約の2つを正しく数えるところから始めるのが現実的です。
2. 1件にいくらまで払えるかは、粗利で決まる
次に金額です。指標の定義はヘルプに明記されています。
| 指標 | 定義 |
|---|---|
| コンバージョン単価(費用 / コンバージョン) | 1回のコンバージョン獲得にかかった費用の平均。合計費用をコンバージョン数で割った値 |
| コンバージョン率 | コンバージョン数を、有効な操作(クリックなど)の合計数で割った値 |
| コンバージョン値 / 費用 | 投資収益率の推定。合計コンバージョン値を合計費用で割った値 |
判断の線は「1件あたりの粗利」と「コンバージョン単価」の比較です。粗利のほうが大きければ続く、小さければ止める。ここまで落とせば、感覚の話ではなくなります。
注意点が2つあります。
1つ目。粗利であって売上ではありません。客単価5,000円でも、原価と人件費を引いた残りはそれよりだいぶ小さい。業態ごとの水準は飲食店の原価率の目安は業態で違うに公的データから出しています。
2つ目。「コンバージョン値 / 費用」を見るには、コンバージョンに値を入力しておく必要があります。入れていないと、この列は使えません。予約1件の粗利をそのまま値として入れておくのが、店舗ではいちばん素直です。
3. いつ判断するかを、始める前に決める
ここが実務でいちばん外れます。ヘルプには次の記述があります。
予算、目標(アクション単価または広告費用対効果)、コンバージョン目標を手動で頻繁に調整すると、標準の 7 ~ 14 日間の学習期間がリセットされ、キャンペーンの最適化が遅れます。
スマート自動入札を使う場合、7〜14日の学習期間があり、その間に手を入れると期間がリセットされます。「3日見て反応が薄いから予算を下げる」「翌日に目標単価を変える」は、判断ではなく学習のやり直しです。
始める前に、観測する期間と、判断に使う件数を決めてください。期間は学習期間を越えたところから。件数は、コンバージョン単価が偶然で動かない程度の数が要ります。1件や2件で単価を語っても意味がありません。
数字がおかしいと感じたときに見る3点
止める判断の前に、数字そのものを疑う場面があります。
推定が混じることがあります。ヘルプには、発生したすべてのコンバージョンを測定できない場合に推定コンバージョンが含まれることもあると書かれています。実数そのものではない、という前提で見てください。
デバイスをまたいだ分があります。スマホで広告をクリックしてパソコンで予約した場合などは、クロスデバイスコンバージョンとして扱われます。
カウント方法の設定があります。1回の操作の後に発生したすべてをカウントするか、1回だけをカウントするかを選べます。購入なら「全件」、ページ更新による重複を防ぐなら「初回のみ」が案内されています。予約フォームの完了ページが再読み込みされて二重に計上される、というのはここで起きます。
止めると決めたら、受け皿を先に見る
最後に。コンバージョン単価が見合わないとき、原因が広告側にあるとは限りません。クリックは来ているのに件数が出ない場合は、着地したページ側の問題です。
広告を止めても、そのページの取りこぼしは残ります。順番としては、受け皿を点検してから広告の可否を決めるほうが損が小さいです。確認の順序はホームページから問い合わせが来ないときとホームページの予約導線はどこでつまずくかにまとめています。
まとめ
- 店舗のコンバージョンは通話とオフラインが本体。フォームだけ数えると過小評価になる
- 通話は最小時間のしきい値を設定する。短時間の着信を1件に数えない
- 判断の線は「1件あたりの粗利」と「コンバージョン単価」の比較
- 粗利であって売上ではない。コンバージョン値を入力しないと投資収益率は出ない
- スマート自動入札には7〜14日の学習期間。頻繁な変更でリセットされる
- 観測する期間と判断に使う件数を、始める前に決めておく
- 推定コンバージョン、クロスデバイス、カウント方法の3点を確認する
- クリックはあるのに件数が出ないなら、原因は着地ページ側にある
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参照した一次情報
本記事は一般的な傾向と公開情報にもとづく解説です。制度・仕様は変更されることがあるため、実際の手続きや設定の際は必ず一次情報をご確認ください。