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店舗の予約システムを増やす前に。機能の比較より先に決める4つのこと

予約の受け口を増やすと、枠が割れ、数が追えなくなり、法令の論点が増えます。在庫の一元化、計測、個人情報の利用目的、キャンセル規定。比較表を開く前に決めることを整理しました。

予約システムの比較記事を開くと、機能の一覧表が出てきます。決済、リマインド、スタッフ指名、多言語。

ただ、店舗で実際に困るのは機能の有無ではありません。受け口を増やしたあとに起きることのほうです。先に決めておくべき4点を挙げます。

1. 予約の枠を、どこで持つか

受け口を増やすと、電話・自社サイト・ポータル・Googleビジネスプロフィールと入口が並びます。問題は同じ枠を複数の経路が見にいくことです。

決めることは1つです。在庫を一元化するか、枠を分けるか。

  • 一元化する:すべての経路が同じ在庫を見る。システム側が対応している必要があります
  • 枠を分ける:ポータルに5席、自社予約に5席、のように配分する。連携がなくても事故は起きません

どちらも選ばないまま受け口だけ増やすと、同じ時間に二重に入ります。比較表で最初に見るべきなのは、既存の受け口と在庫を共有できるかどうかです。

2. 何件入ったかを、数えられるか

受け口ごとに数えられないと、後から「どれを残すか」を判断できません。

Googleビジネスプロフィール側には、はっきりした差があります。予約プロバイダ経由で管理していれば「予約」の数がパフォーマンスに出ますが、自前のリンクを貼っているだけではデータが取得できません。この違いはGoogleビジネスプロフィールの予約リンクに書きました。指標の読み方はパフォーマンスの見方にまとめています。

自社サイトのフォームなら、完了ページを計測すれば数えられます。電話は落ちやすいので、受け口を増やす前に、電話が何件あるかだけでも記録を始めてください。比較対象がないと、新しい経路の良し悪しが判断できません。

3. 取った個人情報を、何に使うと書いてあるか

予約フォームは、氏名・電話番号・メールアドレスを取得する窓口です。ここは法令の話になります。

個人情報保護委員会の中小企業向け資料には、事業者が守るべきルールとして「取得・利用」「保管」「提供」「開示請求等への対応」の4つが挙げられ、取得・利用については次の2点が示されています。

  • 利用目的を特定して、その範囲内で利用する
  • 利用目的を通知又は公表する

「利用目的の特定」とは、何のために個人情報を利用するのか具体的に決めることとされ、例として「当社の商品の配送及びアフターサービスのご案内のため」のような書き方が挙げられています。「当社の事業のため」では特定になりません。

通知・公表の方法に決まった形はなく、HPの分かりやすい場所や店舗等への掲示、申込書等への記載が例として挙げられています。また、取得の状況から利用目的が明らかであれば通知・公表は不要ともされています(配送伝票の例)。

実務で効くのはここです。

また、利用目的を変更(追加)する場合は、原則本人の同意が必要です。(関連性のある範囲内での変更なら通知又は公表のみで可)

予約で取ったメールアドレスを、あとからキャンペーン配信に回す。これをやる予定があるなら、最初から利用目的に書いておくのが筋です。後から足すほうが手間がかかります。第三者に提供する場合は、あらかじめ本人の同意が必要とされています。

予約システムの選定に落とすと、フォームの前に利用目的を表示できるか、同意のチェックを置けるかが確認項目になります。

なおこの資料は平成29年6月に公表されたもので、その後に令和2年改正法(令和4年4月全面施行)と令和3年改正法が施行されています。漏えい等の報告義務など追加された事項があるため、実際の運用は最新のガイドラインで確認してください。

4. キャンセル規定を、根拠つきで書けるか

予約システムの設定画面には、たいていキャンセル料の欄があります。ここに入れる数字を「相場」で決めないでください。

消費者契約法第9条第1項第1号は、解除に伴う損害賠償の予定や違約金について、次のように定めています。

これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

平均的な損害の額を超える部分は無効です。ポイントが3つあります。

1. 合算で判断される。損害賠償の予定と違約金を別々に定めても、合算した額で見られます。逐条解説には、予定3万円+違約金2万円=5万円が、平均的な損害4万円を超えるという例が挙げられています。

2. 業界の相場は根拠にならない。ここは明確に書かれています。

この「平均的な損害の額」は、当該消費者契約の当事者たる個々の事業者に生ずべき損害の額について、契約の類型ごとに合理的な算出根拠に基づき算定された平均値であり、当該業種における業界の水準を指すものではない。

自店に生じる損害を、自店で算定する必要があります。前日キャンセルなら仕入れた食材と押さえた人員、当日なら埋められなかった枠。業態によって違います。

3. 聞かれたら説明する努力義務がある。同条第2項に、消費者から説明を求められたときは算定根拠の概要を説明するよう努めなければならないと定められています。設定した以上、根拠を手元に残しておいてください。

区分の仕方も自由度があります。解除の時期で分ける(3日前まで無料、前日50%)、解除の事由で分ける。自店の損害の出方に合わせて区分するのが本筋です。

そのうえで、機能を見る

ここまで決まってから比較表を開くと、見る列が絞れます。

見る点 確認すること
在庫 既存の受け口と枠を共有できるか
計測 予約数を経路別に出せるか
フォーム 利用目的の表示と同意のチェックを置けるか
キャンセル 時期や事由で区分を設定できるか
解約時 顧客データを引き出せるか

最後の行を忘れないでください。乗り換えるときに予約履歴と顧客情報が出せないと、実質的に移れなくなります。フォーム自体の作り込みはホームページの予約導線はどこでつまずくかを参照してください。

まとめ

  • 受け口を増やす前に、在庫を一元化するか枠を分けるかを決める
  • 経路別に件数を数えられるようにする。電話は特に落ちやすい
  • プロフィールの予約数は、プロバイダ経由でないと取得できない
  • 個人情報は利用目的を具体的に特定し、通知または公表する
  • 利用目的の変更(追加)は原則本人の同意が必要。後から足さない
  • キャンセル料は、平均的な損害の額を超える部分が無効になる
  • 損害賠償の予定と違約金は合算で判断される
  • 「業界の水準」は根拠にならない。自店の損害で算定する
  • 説明を求められたら算定根拠の概要を説明する努力義務がある
  • 解約時に顧客データを引き出せるかを確認する

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参照した一次情報

本記事は一般的な傾向と公開情報にもとづく解説です。制度・仕様は変更されることがあるため、実際の手続きや設定の際は必ず一次情報をご確認ください。

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