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AIの回答で競合と並べられたとき。比較文を書く前に、景品表示法の3要件を見る

「競合と比べてこちらが優れている」と自分で書くと、比較広告として景品表示法のルールがかかります。比較そのものは禁止されていませんが、3要件を全部満たす必要があります。自社サイトに自店の星評価を出せない理由もあわせて整理しました。

「この地域で美容室を探しています。A店とB店はどちらがいいですか」。AIにこう聞かれる場面が増えました。そこで自店が不利に書かれていたら、何ができるのか。

対策として思いつくのは、自分のサイトに比較を書くことです。「他店との違い」「選ばれる理由」といったページです。ここに落とし穴があります。

先に、断定できないことを書いておく

AIが比較の文脈で何をどう並べるかは、公表されていません。どの情報源にどれだけ重みを置くのかも分かりません。ここは推測で埋めずに、分からないままにしておきます。

分かっているのは、AI機能や検索が読んでいるのはテキストで書かれた本文だということ、そして店舗の情報源はサイトだけではないということです。この2点はAI検索で引用されるサイトの条件とChatGPTに「近くの店」を聞かれて自店が出ないときにまとめました。

つまりできるのは、自店側の事実を正確に埋めることまでです。そのうえで「他店より優れている」と書くなら、別のルールが立ち上がります。

自分で比較を書くと、比較広告になる

消費者庁の「比較広告に関する景品表示法上の考え方」が定義しています。

比較広告とは、自己の供給する商品又は役務(以下「商品等」という。)について、これと競争関係にある特定の商品等を比較対象商品等として示し(暗示的に示す場合を含む。)、商品等の内容又は取引条件に関して、客観的に測定又は評価することによって比較する広告をいう

「暗示的に示す場合を含む」 が重要です。店名を書かず「駅前の某店より」と書いても該当し得ます。

まず前提として、比較そのものは禁じられていません。

景品表示法第4条は、自己の供給する商品の内容や取引条件について、競争事業者のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示を不当表示として禁止しているが、競争事業者の商品との比較そのものについて禁止し、制限するものではない。

引用はガイドラインが昭和61年の考え方を示した部分で、条文番号は当時のものです。同じ文書の注に「平成28年4月1日以降は第5条」とあります。

望ましい比較広告についても書かれています。一般消費者が同種の商品の特徴を適切に比較し得るための具体的情報を提供するもの、とされています。

3つの要件を、全部満たす必要がある

このためには、次の三つの要件をすべて満たす必要がある。
① 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
② 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③ 比較の方法が公正であること

「すべて満たす」です。 順に見ます。

1. 客観的に実証されていること

実証の範囲が決まっています。

実証が必要な事項の範囲は、比較広告で主張する事項の範囲である。

「近隣で最も施術時間が短い」と書くなら、近隣の各店の施術時間を調べた結果が必要になります。地域を広げて書けば、調べる範囲も広がります。

小さな店に使える記述もあります。

公的機関が公表している数値や事実及び比較対象商品等を供給する事業者がパンフレット等で公表し、かつ、客観的に信頼できると認められる数値や事実については、当該数値や事実を実証されているものとして取り扱うことができる。

相手が自分で公表している数値は、実証済みとして扱えるということです。競合のサイトに載っている料金表や営業時間は、ここに入り得ます。逆に、聞いた話や印象は使えません。

調査機関については、広告主と関係のない第三者によるものが望ましいとされています。ただし自社調査でも、実証方法が妥当であれば根拠として用いることができるとも書かれています。

2. 正確かつ適正に引用すること

限定条件の扱いが明示されています。

実証の根拠となる調査が一定の限られた条件の下で行われている場合には、当該限られた条件の下での比較として引用する必要がある。

一部だけ取り出す場合にも線があります。

自己の判断で、いくつかの項目を恣意的に取り上げ、その評価を点数化し、平均値を求めるという方法等を用いることにより、当該調査結果の本来の趣旨とは異なる形で引用し、自社製品の優秀性を主張することは、不当表示となるおそれがある。

都合のいい項目だけ選んで点数化するのは、名指しで挙げられています。

調査方法の表示についても指示があります。調査機関、調査時点、調査場所等のデータを広告中に表示することが適当とされ、そのうえでこう書かれています。

調査機関や調査時点等をあえて表示せず、調査の客観性や調査時点等について一般消費者に誤認を生じさせることとなるような場合には、不当表示となるおそれがある。

例として挙がっているのが「近時における権威ある調査によれば」という書き方で、実際には自社調査だった場合、または相当以前の調査だった場合です。

3. 比較の方法が公正であること

3つの観点が並んでいます。

観点 問題になる例
比較項目の選択 全体の機能・効用にあまり影響しない事項で比較し、全体が優良であるかのように強調する
比較対象の選択 社会通念上・取引通念上、同等と認識されていないものと比較し、同等のものとの比較であるかのように表示する
短所の表示 主張する長所と不離一体の関係にある短所を、殊更表示しない、または明瞭に表示しない

店舗の例に置き換えると、他店の一番安いコースと自店の標準コースを並べて「同価格帯で比較」と書くのが2番目に当たります。価格の安さを押す理由が立地や設備の制約にあるなら、3番目にも触れます。

中傷・ひぼうは、別枠で扱われている

同じガイドラインに、独立した項目があります。

一般に、中傷、ひぼうとは、商品等に関する具体的な情報を提供するためのものではなく、単に競争事業者又はその商品等を陥れるため、殊更その欠点を指摘するものをいう。

そして事実であっても問題になり得ると書かれています。

また、事実に基づくものであっても、信用失墜、人身攻撃にわたるもの等で、広告全体の趣旨からみて、あたかも比較対象商品等が実際のものより著しく劣っているかのような印象を一般消費者に与えるような場合にも、不当表示となるおそれがある。

さらに、

さらに、場合によっては刑法等他の法律で問題となることや、倫理上の問題、品位にかかわる問題を惹起することもあるので、注意する必要がある。

景品表示法だけの話では終わらないと明記されています。

自社サイトに、自店の星評価は出せない

比較の材料として評価を載せたくなる場面があります。ここはGoogle側のルールです。構造化データのドキュメントにこう書かれています。

レビューされる側のエンティティが自身のレビューを管理している場合、LocalBusiness またはその他のタイプの Organization 構造化データを使用しているページは、スターレビュー機能の対象外となります。

抜け道もふさがれています。

たとえば、エンティティ A に対するレビューがエンティティ A のウェブサイトに構造化データで直接、または埋め込まれたサードパーティ ウィジェットを介して置かれている場合

埋め込みウィジェットでも同じ扱いです。 原則も書かれています。

評価は、ユーザーから直接入手する必要があります。

他のウェブサイトからのクチコミや評価は集計に含めないでください。

自店のGoogleの平均点を自分のサイトに星として出す形は、ここに当たります。

結局、やることは

比較を書くための手間と、満たすべき要件を並べると、多くの店では「自店の事実を埋める」ほうが先に来ます。

  • 営業時間・料金・所要時間・支払い方法・設備を、サイトとプロフィールで一致させる
  • 実際に聞かれている質問を、1問1答で置く(店舗サイトのFAQの作り方)
  • 他店に言及せず、自店が何をどの条件で提供するかだけを書く

これは比較を避けているのではありません。読む側が比較できる材料を出す、というのがガイドラインの言う「望ましい比較広告」の方向です。

まとめ

  • AIが比較の文脈で何をどう並べるかは公表されていない。推測で埋めない
  • 自分で他店と比べて書くと比較広告になる。「暗示的に示す場合」も含まれる
  • 比較そのものは禁止されていない。ただし3要件をすべて満たす必要がある
  • 実証が必要な範囲は、主張する範囲と一致する
  • 相手が自分で公表している信頼できる数値は、実証されているものとして扱える
  • 限られた条件下の結果を全条件に当てはめて引用しない
  • 都合のいい項目を選んで点数化するのは名指しで挙げられている
  • 調査機関・調査時点・調査場所を表示する。「権威ある調査」とだけ書かない
  • 同等と認識されないものと比較しない。長所と不離一体の短所は隠さない
  • 中傷・ひぼうは別枠。事実でも問題になり、他の法律にも触れ得る
  • 自社サイトに自店の星評価は出せない。埋め込みウィジェットも同じ

書くか書かないかを決める前に、3要件を自店の主張に当ててみてください。満たせない主張は、書かないほうが安全です。

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参照した一次情報

本記事は一般的な傾向と公開情報にもとづく解説です。制度・仕様は変更されることがあるため、実際の手続きや設定の際は必ず一次情報をご確認ください。

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