店舗サイトのアクセス解析。合わない数字を追うのをやめて、実数だけ見る
Search ConsoleとGA4の数字は、設計上一致しません。平均掲載順位は最上位の平均、表は1,000行まで、日付は太平洋時間。GA4の直帰率は10秒で消えます。公式ヘルプの定義から、無視していい数字と見るべき数字を分けました。
「Search Consoleのクリック数とアナリティクスのユーザー数が合わないのですが」。
この質問に対する答えは、合わないのが正常です。Googleがそう書いています。にもかかわらず差分の原因を探す時間が使われていることが多いので、公式の定義から整理します。
2つのツールの数字は、合わないのが正常
Search Consoleのヘルプには、他ツールと数字が異なる理由が列挙されています。
- プライバシー:「検索回数が非常に少ないクエリは除外されます」
- 処理:重複が削除されるなど、処理の違いで統計が変わる
- タイムラグ:「収集されたデータは通常、2〜3 日以内に利用可能になります」
- タイムゾーン:パフォーマンスレポートは日ごとのデータを太平洋時間(PT)でトラッキングする
- JavaScript:アナリティクスなどは「ブラウザで JavaScript を有効にしているユーザーのトラフィックのみ」を追う
タイムゾーンの行がいちばん効きます。Search Consoleの「10月1日」は日本時間の10月1日ではありません。 日単位で突き合わせると、必ずずれます。
差分を調べる作業に意味があるのは、片方がゼロのときだけです。問い合わせが来ないときの切り分けで使うのはそういう見方で、小さなずれの説明を求める使い方ではありません。
Search Consoleの指標は、言葉のとおりではない
4つの指標の定義を確認します。
| 指標 | 定義 |
|---|---|
| クリック数 | 検索結果からサイトをクリックした回数 |
| インプレッション数 | サイトが検索結果に表示された回数 |
| CTR | クリック数をインプレッション数で割った値 |
| 平均掲載順位 | 検索結果におけるサイトの最上位の平均掲載順位 |
平均掲載順位は「最上位の平均」です。1つのクエリで複数ページが出ているとき、最上位のものが採られます。ページを増やすと数字が動くことがありますが、順位が上がったわけではないという場合があります。
もう1つ、クエリの表には上限があります。
表には 1,000 行までしか表示されないため、頻度の低い行やロングテール行が表から省略されることがありますが、グラフの合計には含まれます。
表のクエリタブでは、匿名化された結果(非常にまれな結果)は表から除外されますが、クエリフィルタが適用されていない限り、グラフの合計数に含まれます。
つまりグラフの合計と表の合計は一致しません。 足し算して検算するのは時間の無駄になります。
ヘルプにはこうも書かれています。「クエリがリストに表示されていても、Google 検索で同じクエリを実行した際に、検索結果にサイトが表示されない場合があります」。検索結果は時間・場所・端末・履歴で変わるので、自分で検索して確かめる作業は再現性がありません。
GA4の「直帰率」は、10秒で消える
ここは定義を知らないと誤読します。GA4の直帰率は、昔のものと別物です。
エンゲージメント セッションとは、次のいずれかの条件を満たすセッションを指します。
10 秒以上継続する/キーイベントが発生する/ページビューまたはスクリーン ビューが 2 回以上発生する
直帰率は、このエンゲージメントが発生しなかったセッションの割合です。10秒間ページを開いていれば、何もしなくても直帰ではありません。
店舗サイトは営業時間や地図を見て終わる使い方が多いので、この定義だと直帰率は低く出ます。低いこと自体は良い知らせではありません。 「10秒以上開いていた人の割合」を品質の指標として読むと、判断を誤ります。
なお、この2つの指標はほとんどのレポートに初期状態では入っていません。表示するにはレポートのカスタマイズが必要で、編集者か管理者の権限が要ります。最初から見えていない指標を、わざわざ追加して見る必要があるかを考えてください。
小さいサイトでは、行そのものが消える
GA4には「データのしきい値」があります。
データのしきい値は、レポートやデータ探索を閲覧する際、データに含まれるシグナル(ユーザー属性、インタレストなど)から個別ユーザーの身元または機密情報を推測できないようにするために設けられています。
データのしきい値はシステムによって定義されるため、ご自身で調整することはできません。
適用されるのはユーザー属性データと検索語句の情報で、「合計ユーザー数が十分な数に達していなければ、該当データを含む行が除外されることがあります」とされています。
月に数百セッションの店舗サイトでは、これが日常的に起きます。 対処はひとつだけ示されています。期間を広げることです。1週間で見て空なら、3か月で見る。年齢や地域の内訳を日次で追うのは、そもそも成立しません。
見るのは実数、それも3つで足りる
ここまでを踏まえると、小規模な店舗サイトで意味のある見方は限られます。
1. Search Consoleのクリック数。 実数です。率ではないので、母数が小さくても暴れません。前年同月・前月と、同じ指標で比べます。
2. 自分で決めたキーイベント。 電話のタップ、問い合わせの送信、地図を開く。GA4の定義上、キーイベントが起きたセッションはエンゲージメントセッションになります。何をキーイベントにするかを決めていないなら、先にそれを決めるのが解析より前の作業です。
3. プロフィール経由の流入。 マップから来る経路は、Googleビジネスプロフィール側の「ウェブサイトのクリック」に出ます。指標ごとに数え方が違う点はパフォーマンスの見方に書きました。
逆に、無視してよいものは次のとおりです。CTRと直帰率とエンゲージメント率(率は母数が小さいと暴れる)、平均掲載順位の小数点(最上位の平均)、2つのツールの差分(設計上一致しない)、属性の内訳(しきい値で消える)。
速度のスコアも同じで、満点を追う対象ではありません。この話はスマホ表示速度はまず3か所にまとめています。
まとめ
- Search ConsoleとGA4は一致しない。タイムゾーンがPT、ラグが2〜3日、JavaScriptの有無で差が出る
- 平均掲載順位は「最上位の平均」。ページを増やすと動く
- クエリの表は1,000行まで。匿名化クエリは表から除外される。グラフの合計と合わない
- GA4の直帰率は10秒で消える。低くても品質の証明にはならない
- しきい値は調整できない。小規模サイトでは期間を広げる以外に手がない
- 見るのはクリック数・キーイベント・プロフィール経由の3つ。実数で、同じ指標の前後比較
数字を増やす前に、見ない数字を決めてください。
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参照した一次情報
本記事は一般的な傾向と公開情報にもとづく解説です。制度・仕様は変更されることがあるため、実際の手続きや設定の際は必ず一次情報をご確認ください。