補助金

補助金の事業計画は、審査の観点に合わせて書く。公募要領に全部載っている

持続化補助金の公募要領には、基礎審査の4要件と計画審査の4項目が明記されています。ヒアリングはなく提出資料だけで決まります。加点を2種類以上選ぶと加点審査の対象外になる点も含めて、第8版から整理しました。

「補助金の事業計画はどう書けばいいか」。この問いには、探し回る前に見る場所があります。公募要領の中に、審査の観点がそのまま載っています。

小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>の公募要領(第8版)から、審査の構造と、そこから決まる書き方を整理します。

先に前提です。公募要領の冒頭にこう書かれています。

本補助金は、審査があり、不採択になる場合があります。

書き方を揃えることで評価は上げられますが、採択を約束するものではありません。この記事も「通る書き方」の話ではなく、「評価の観点に答える書き方」の話です。

対象者と対象経費の読み方は持続化補助金でホームページは対象になるかに、締切からの逆算は補助金は締切から逆算するにまとめました。

ヒアリングはない。提出資料だけで決まる

審査の方法が明記されています。

採択審査は非公開で提出資料により行います。提案内容に関するヒアリングは実施しませんので、不備のないよう十分ご注意ください。

補足説明の機会はありません。 「書類に書き切れなかったことは面談で」という前提は成り立ちません。

結果についても線が引かれています。

※採択審査結果の内容についての問い合わせには応じかねます。

落ちた理由も教えてもらえません。だから出す前に、観点に照らして自分で点検する必要があります。

審査は3段。最初に「失格」のラインがある

計画の出来を見てもらう前に、要件の関門があります。

次の要件を全て満たすものであること。要件を満たさない場合には、その提案は失格とします。

基礎審査の4項目です。

# 要件
① 必要な提出資料がすべて提出されていること
② 補助対象者・補助対象事業・補助率と補助上限額・補助対象経費の要件及び記載内容に合致すること
③ 補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④ 小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること

①は書類の数の話です。 計画をどれだけ練っても、添付が1枚足りなければここで終わります。④は、外部に丸投げした取組が引っかかり得る項目です。

計画審査の4項目が、そのまま書く順番になる

次が中身の評価です。

経営計画・補助事業計画について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。

「高いものから順に」です。 基準点を超えれば全部通る形ではありません。項目は4つで、公募要領の並びがそのまま構成に使えます。

① 自社の経営状況分析の妥当性

自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みや弱みも適切に把握しているか。

② 経営方針・目標と今後のプランの適切性

経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みや弱みを踏まえており、売上高・売上総利益の増加を目指すものとなっているか。

経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)や顧客のニーズを捉えたものとなっており、売上高・売上総利益の増加を目指すものとなっているか。

③ 補助事業計画の有効性

ここに5つの観点が並びます。効果の目標設定が客観的事実に基づいているか、具体的で実現可能性が高いか、新たな価値を生み出す商品・サービス・提供方法があるか、そして2つ。

補助事業計画には、デジタル技術を有効的に活用する取組が見られるか。

補助事業により取得した資産について、補助事業終了後も継続して使用し事業展開に役立てることが明確になっているか。

④ 積算の透明・適切性

事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか。

繰り返されている言葉を拾う

4項目を通して、同じ表現が何度も出てきます。ここが実際の書き方に直結します。

繰り返されている言葉 書くときにすること
売上高・売上総利益の増加 「集客が増える」で止めず、売上と粗利の見込みまで書く
客観的事実に基づいて 社内の数字、公的統計、相手が公表している数値を根拠にする
実現可能性が高い 誰が・いつ・どの設備で実行するかを書く
自社の強みや弱み 強みだけでなく弱みも書く。①と②の両方で問われている
デジタル技術を有効的に活用 独立した観点として挙げられている
終了後も継続して使用 買って終わりではなく、その後どう使うかを書く

「売上高・売上総利益の増加」は②と③の各項目で繰り返されています。 計画の最後に数字を1行添えるのではなく、各段落の着地点に置く語句です。

加点は「2種類まで」。欲張ると対象外になる

ここが落とし穴です。

加点は、【重点政策加点】、【政策加点】からそれぞれ 1 種類、合計 2 種類まで選択することができます。

そして、

※【重点政策加点】、【政策加点】から 2 種類以上を選択された場合には、加点審査の対象となりませんので、お間違えのないようご注意ください。

該当するものを全部チェックすると、加点が0になります。 多いほど有利だと考えて起きる事故です。

用意されている種類はこうです。

  • 重点政策加点:赤字賃上げ加点/事業環境変化加点/東日本大震災加点/くるみん・えるぼし加点/健康経営優良法人加点
  • 政策加点:賃金引上げ加点/地方創生型加点/経営力向上計画加点/事業承継加点/過疎地域加点/一般事業主行動計画策定加点/後継者支援加点/小規模事業者卒業加点/事業継続力強化計画策定加点/令和6年能登半島地震等に伴う加点

書類の条件が付くものもあります。経営力向上計画加点は、認定書の写しの提出がない場合は加点対象になりません。チェックを入れただけでは効きません。

なお賃金引上げ特例を希望した場合は賃上げ加点が自動的に適用され、赤字事業者として申請した場合は赤字賃上げ加点も自動的に適用される、という組み合わせの指定もあります。

2回目以降は、条件が重くなる

過去に採択された事業者向けの記述が複数あります。

過去に実施した補助事業と同じ事業であると見受けられる場合には、不採択となります(採択後に判明した場合も、遡って採択を取り消します)。

さらに、

より多くの事業者に補助事業を実施いただけるよう、過去の補助事業(全国対象)の実施回数等に応じて段階的に減点調整を行います。

回数が増えるほど、同じ内容では通りにくくなる設計です。 審査では、それぞれの実施回の結果を踏まえた計画になっているか、過去と明確に異なる新たな事業かという観点も見るとされています。

併願にも制限があります。同一事業者が同一内容で国の他の補助事業等と併願している場合、不合理な重複や過度な集中を排除するため、重複して採択しないとされています。

採択されても、満額とは限らない

最後にもう1つ。

採択された場合であっても、予算の都合等により希望金額から減額される場合があります。

冒頭にも、審査の結果次第では申請額から減額または全額対象外となる場合があると書かれています。満額が前提の資金計画を組まないでください。 採択後の手続きは補助金の実績報告で止まる3か所にまとめました。

まとめ

  • 公募要領に審査の観点が載っている。書き方を探す前にそこを読む
  • ヒアリングはない。提出資料だけで決まり、結果の内容は問い合わせできない
  • 基礎審査の4要件は、満たさなければ失格。提出資料の欠落もここに入る
  • 計画審査は4項目で、評価が高いものから順に採択される
  • 「売上高・売上総利益の増加」「客観的事実に基づいて」が繰り返されている
  • デジタル技術の活用と、終了後も継続して使うことが独立した観点になっている
  • 加点は重点政策・政策から各1種類、計2種類まで。2種類以上選ぶと加点審査の対象外
  • 書類の提出がないと加点されない項目がある
  • 過去と同じ事業は不採択。実施回数に応じて段階的な減点調整がある
  • 採択されても予算の都合等で減額される場合がある

書き終えたら、公募要領の審査の観点を1項目ずつ読みながら、自分の計画のどこで答えているかを指差し確認してください。答えていない項目が見つかります。

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参照した一次情報

本記事は一般的な傾向と公開情報にもとづく解説です。制度・仕様は変更されることがあるため、実際の手続きや設定の際は必ず一次情報をご確認ください。

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