ChatGPTで店舗の投稿文を作る。そのまま出す前に直す5点
AIが書いた文章でも、出した時点で事業者の表示です。誤って書いた場合も景品表示法の対象になります。数字・言い切り・お客様の声・依頼条件・投稿先のルールを、消費者庁の資料から整理しました。
SNSの投稿文をAIに書かせるのは、店舗の業務のなかでも当たりやすい使い方です。量が要るうえ、下書きが手元にあれば直すだけで済みます。
ただ、出した時点でそれは店の表示になります。AIが書いたことは、言い訳になりません。
景品表示法の有利誤認について、消費者庁はこう書いています。
なお、故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、有利誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。
「誤って」でも対象です。ここを前提に、出す前に直す点を5つ挙げます。
1. 数字と条件は、自分で埋める
AIは価格・期間・在庫・条件を知りません。それでも文章としては成立するので、空欄のまま出せてしまうのが厄介なところです。
有利誤認の具体例として挙げられているのが、まさにこの形です。
運送業者の場合…基本価格を記載せずに、「今なら半額!」と表示したが、実は50%割引とは認められない料金で仕事を請け負っていた。
「今だけ」「特別価格」「半額」は、AIが好んで書く言い回しです。元の価格、期間、対象、条件を自分の手で入れてください。入れられないなら、その表現ごと削るほうが安全です。
有利誤認とは、価格その他の取引条件について、実際のものより著しく有利だと一般消費者に誤認されるもの、または競争事業者のものより著しく有利だと誤認されるものを指します。「他店より安い」と書くなら、その根拠を持っている必要があります。
2. 効き目と品質の言い切りを削る
もう一方の柱が優良誤認です。実際よりも著しく優良だと見せる表示が該当します。
AIの下書きには、根拠のない最上級や言い切りが混ざります。「地域で一番」「どなたでも結果が出ます」「肌が生まれ変わります」。書いた本人が根拠を示せないものは、全部落とすという基準で読み直してください。
この線引きは画像でも同じで、実物と違う仕上がりを見せる生成画像も同じ問題を起こします。詳しくは店舗の販促にAI生成画像を使う前にに整理しました。
3. 「お客様の声」をAIに書かせない、都合よく選ばない
架空の感想を作るのは論外として、実在する声でも扱い方で問題になります。
消費者庁のステルスマーケティングQ&Aに、アンケートの回答を「お客様の声」として自社サイトに載せる場合の説明があります。
例えば、商品について好意的な評価をしているものだけを選んで引用する場合や、商品の「良い点」・「悪い点」を挙げている回答の「良い点」の部分だけを引用する場合は、「事業者の表示」に当たると考えられます。
この場合、事業者の表示であることを明瞭にしなければ告示に違反するとされています。逆に、無作為に選んだ回答をそのまま引用する場合は事業者の表示に当たらない、とも書かれています。
AIに「良い部分を抜き出して」と頼むのは、まさに恣意的な抽出です。使うなら、選ばずそのまま載せるか、店の言葉として書くかのどちらかにしてください。
4. 投稿を依頼するときの「条件」に気をつける
ステルスマーケティングは2023年10月1日から景品表示法違反です。定義は単純です。
広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる「ステルスマーケティング」です。
対象はSNS投稿やレビュー投稿を含み、規制されるのは商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。依頼を受けたインフルエンサー側は対象外とされています。つまり責任は店側にあります。
店舗の実務で線を越えやすいのが、依頼時の条件設定です。Q&Aには口コミ投稿を割引の条件にする例があり、内容の指示がなければ通常は事業者の表示に当たらないとされています。ただし続きがあります。
一方で、後段の場合、口コミ投稿に当たって、「星5(☆☆☆☆☆)」を付けることが条件とされており、事業者は表示(投稿)の内容を決定しているといえるため、「事業者の表示」に当たると考えられます。
評価や推奨コメントを条件にした時点で、店が内容を決めたことになります。口コミ依頼の文面をAIに書かせると、「ぜひ星5で」のような一文が自然に混ざります。ここは必ず自分で確認してください。Googleのポリシー側の線引きはGoogleの口コミを増やすにまとめています。
従業員に自分のアカウントで投稿してもらう場合も同じです。投稿しただけで直ちに違反になるわけではありませんが、販売促進が求められる地位や立場の人(販売・開発の役員、管理職、担当チームの一員など)が販促目的で投稿する場合は、事業者の表示に当たると考えられるとされています。
その場合に必要なのは明示です。明瞭に示す方法として挙げられているのは「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」の表記や、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章です。所属を書くだけでは足りないとも明記されています。
「私は〇〇社の社員です。」等と所属が明示されているだけで、一般消費者にとって「事業者の表示」であることが明瞭となっているとは必ずしもいえないと考えられます。
5. 出す先のルールに合わせる
最後は形式面です。AIは投稿先の仕様を知りません。
Googleビジネスプロフィールの投稿には電話番号を入れられず、公開後に審査があります。文面に番号を書いて不承認になるのは、よくある引っかかり方です。投稿枠そのものの考え方はGoogleビジネスプロフィールの投稿はどのくらいの頻度が要るかに書きました。
文字数やハッシュタグの上限も媒体で違います。同じ下書きを全媒体に貼る運用は、どこかで崩れます。媒体ごとに整える工程を、公開前に1つ挟んでください。
手直しのチェックリスト
下書きを受け取ったら、この順で読み直すと早いです。
| 見る点 | 落とすもの |
|---|---|
| 数字 | 元価格・期間・対象が空のままの割引表現 |
| 言い切り | 根拠を示せない最上級、効き目の断定 |
| 声 | 架空の感想、好意的な部分だけの抜き出し |
| 依頼文 | 評価や推奨コメントを条件にする一文 |
| 形式 | 投稿先で使えない要素(電話番号など) |
まとめ
- AIが書いても、出した時点で店の表示。誤って書いた場合も景品表示法の対象になる
- 割引や特別価格は、元の価格・期間・条件を自分で埋める。埋められないなら削る
- 根拠を示せない最上級や効き目の断定は落とす
- 「お客様の声」は、好意的な部分だけを選んで引用すると事業者の表示に当たる
- ステマ規制は2023年10月1日から。責任は依頼した事業者側にある
- 星の数や推奨コメントを条件にした依頼は、店が内容を決めたことになる
- 従業員の投稿を使うなら「広告」「PR」等の明示が要る。所属の明示だけでは足りない
- 投稿先ごとの仕様(電話番号の可否など)に合わせて整えてから出す
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参照した一次情報
本記事は一般的な傾向と公開情報にもとづく解説です。制度・仕様は変更されることがあるため、実際の手続きや設定の際は必ず一次情報をご確認ください。