店舗×AI

店舗の業務をAIに任せるなら、最初の1つはどれか。選び方と入力してはいけない情報

AIを使いたいが何からか分からない、という段階の整理です。最初に任せる作業の選び方と、個人情報保護委員会が注意喚起している「入力してはいけない情報」をまとめました。

「AIを使ったほうがいいのは分かるが、何から手をつければいいか分からない」

店舗のご相談で増えている質問です。手を広げすぎて結局どれも続かなかった、という話もよく聞きます。

最初の1つを選ぶ基準と、業務で使うときに踏んではいけない線を整理します。入力してはいけない情報の話が後半にありますので、すでに使っている方はそちらから読んでいただいても構いません。

最初の1つは「毎週起きて、下書きで足りる仕事」から選ぶ

選定の基準はシンプルに2つで足ります。

  1. 頻度が高いこと。月1回の作業を効率化しても、身につく前に忘れます
  2. 下書きで用が足りること。AIの出力をそのまま外に出す仕事は、最初の1つに向きません

この2つを満たすと、失敗しても損失が小さく、続けるうちに使い方が分かってきます。逆に「予約の一次対応をまるごと任せる」ような、間違えたときに客商売として痛い領域は後回しにしてください。

店舗で候補になりやすい作業

作業 向き 理由
口コミ返信の下書き 頻度が高く、必ず人が読んでから公開する
SNS投稿文のたたき台 量が要る。修正前提で使える
メニューやサービスの説明文 素材はある。表現に迷う時間が減る
打ち合わせ・朝礼メモの要約 記録が残る。ただし固有名詞は要確認
問い合わせへの自動返信 誤答がそのまま顧客に届く

最初の1つとして薦めやすいのは口コミ返信の下書きです。頻度が読めて、公開前に必ず自分が目を通す前提が自然に成立します。

Googleも、クチコミに返信することでフィードバックを重視していると示せるとしており、クチコミ数が多く評価の高いビジネスはローカル検索で上位に出やすいと説明しています。返信を溜めないこと自体に意味があるので、下書きが早くなる効果は素直に効きます。

返信文の組み立て方そのものは低評価の口コミが付いたとき、店側が最初にやるべきことを、依頼の導線はGoogleの口コミを増やすを参照してください。

入力してはいけない情報がある

ここが本題です。個人情報保護委員会は2023年6月2日に、生成AIサービスの利用について注意喚起を出しています。事業者向けの内容は次の2点です。

個人情報取扱事業者が生成 AI サービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合には、特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること。

あらかじめ本人の同意を得ることなく生成 AI サービスに個人データを含むプロンプトを入力し、当該個人データが当該プロンプトに対する応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、当該個人情報取扱事業者は個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。

後者には続きがあり、そうした入力を行う場合は提供事業者が当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認することとされています。

店舗の実務に落とすと、こういう場面です。

  • 予約者の氏名・電話番号を含む名簿を、そのまま貼り付けて整形させる
  • カルテや施術記録を貼り付けて要約させる
  • 口コミ本文に投稿者の実名が入っているのを、そのままコピーする

3つ目は見落としがちです。口コミ返信の下書きに使うときは、名前を伏せてから貼るという一手間を運用に入れてください。

一般利用者向けの留意点として、入力した個人情報が機械学習に利用され、他の情報と統計的に結びついて出力されるリスクがあること、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認することも挙げられています。学習に使わない設定や法人向けプランがあるサービスもあるので、業務で使うなら契約形態を確認してから始めるほうが安全です。

そのまま外に出さない

もう一点、公開物についての線引きです。

Googleは生成AIで作ったコンテンツ自体を禁止してはいません。問題とされるのは、ユーザーに価値を加えないまま大量のページを生成することで、これはスパムポリシー違反になり得るとされています。正確性・品質・関連性を重視するようにも書かれています。

同じ注意喚起の中に、応答結果は確率的な相関関係に基づいて生成されるため不正確な内容が含まれるリスクがある、という記述もあります。営業時間・価格・所在地のような事実は、出力を信じずに自分の手元の情報と突き合わせてください。

AI検索に引用される条件についてはAI検索で引用されるサイトの条件にまとめています。

まとめ

  • 最初の1つは「頻度が高く、下書きで足りる仕事」から選ぶ
  • 店舗では口コミ返信の下書きが始めやすい。公開前に必ず人が読む前提が自然に成立する
  • 個人情報を含むプロンプトは、利用目的の範囲内かを確認する
  • 本人の同意なく個人データを入力する場合、機械学習に使われない仕組みかの確認が要る
  • 口コミの実名は伏せてから貼る。名簿やカルテの貼り付けは避ける
  • AI生成物をそのまま公開しない。事実は手元の情報と突き合わせる

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参照した一次情報

本記事は一般的な傾向と公開情報にもとづく解説です。制度・仕様は変更されることがあるため、実際の手続きや設定の際は必ず一次情報をご確認ください。

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